当時は、所謂ドはまりしてしまい、物語を読み終え、継いで何度となく読み返し、いよいよ物語が終わった…と認識せざるを得なくなると、よく幼少期に夢中になった映画や絵本を読み終えたら襲ってくる「置いてかれちゃった感」が大人になってから出たものだから、なんだかショックも大きく、また、感想なんかも人との捉え方の違いを楽しむ事ができなかったので、再読することを何年か敬遠していたのです。
で、先日うっかり「あ〜、ダメなのに〜」なんて思いながらも一気読みしてみました。
するとどうでしょう。
当時は処理し切れなかった感動が、ちゃんと入ってくるくる。
視点、構図、もちろん台詞、キャラクター。言わずもがな素晴らしい。
そして、設定も実はごちゃついていなくて素晴らしい。
でも言いたいことはただ一つだけ、と言う作者の優しいメッセージが込められているような気がしました。
設定、キャラクター。
これは一見とても大切。
というのは、例えば当時の一般的な若者であった私にも、「流行りもの」という時間を越えた古ぼけた借り物のコミックスに、1〜5ページ以内で圧倒的な興味を持たせるため。なんなら最後まで読ませるために。
そして、一章の中ですでに「起」は完結していること。
これは、一見ホラーやSF映画ならば15〜20分以内にないと嫌だ。私は、ですが。
あと、素晴らしいのは言いたい事が悲劇に負けないようにすること。
血の気の多いシーンは実は最小に、でも印象にだけ残る技をきかせて。
「精神」「カルト」「霊感」と言うような安易で恐ろしげな単語をまず使わないで本質を訴えかけること。
それからキャラクターを象徴するような「目」や口、その他万物それぞれに備わった機能は、なにも怖いものではなく、とても便利だということ。ただ、怖いと思うだけで簡単に強烈な恐怖に変わるということ。
「色んな人がいるけれど、楽しまなくちゃね、切り替えなきゃね。」
「ごはんは食べなきゃね。」
「よく休んでね。」
こう言う事は、何度となく言われた優しい言葉だけれど、なかなか乗りこなせない事なんだな、とやはりまた少しぽつねん。
器はなるべく大切にしよう、と思う。
次は何年後に読むのでしょうか。
矢野沙織

※寄生獣より転載
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