実はですね、私は小説を書いているんですよ。  [矢野沙織]

実はですね、私は小説を書いているんですよ。
多少自嘲気味にでもならないとそんな事はなかなか告白できないのでご了承ください。

これは自分が恥ずかしいだけで、実際はなんともまあよくある話なのかも知れませんが、私はおそらく11歳頃から二十歳を過ぎ結構大人になる頃まで「絶対に見られてはいけないノートシリーズ」としておよそ日記のような書き留めをかなりの量日々行っておりました。

切っ掛けは忘れもしない平凡な夏の終わり頃の事でした。おそらく私は9歳くらいだったでしょう。
夏休みも終わり、朝目覚めると慌てて風を確認するために窓を開けると、日毎に涼しくなっていってしまう事がどうにも耐えられずもんどり打っていました。なんとかしなければ、と研究すると、どうやらそれは朝夕の風の涼しきと感じると、溝落のあたりがうずうずとして気になって落ち着かなくなるのが原因だな、と言う事に気が付いたのです。
それがもはや痛みと言っても過言ではなくなり、母に一連の結果を相談すると母は、
 「それは”切ない”って言うんだよ。」と言いました。
それは私にとってかなりの衝撃で、その日から私は「切ないなぁ!切ないなぁ!たまらない!」と叫びつつとりあえず縄跳びをしてみたりして季節の移ろうのに苦しんでおりました。「切ない」と言う痛み方を覚えた私には、もう何事もかなり切なくなりっぱなしになっていたのでした。
紙芝居は始まれば必ず終わること、おやつは今はあっても美味しくて食べてしまえば必ず無くなることに、なんとも言えず泣いた小さな頃から早10年弱。あれは切ない気持ちだったのか!と。それはそれは衝撃的でした。
そしてある日、友達の家に行く道すがら、ちょっとした解体作業現場を通ると、少なからずや町並みがこうして事もなげに少しずつ、でも確実に変わっていくことに案の定かなりの切なさを感じ、その途端に、
 「この様になんでも切ないんではもうだめだ。大人になる前に切なすぎて死んじゃうよ!」と思いました。
それからアホな女子の日記が始まります。その日記の着眼点の平凡さたるや大したもので、眠りに落ちてしまうことや一日が終わってしまうことに対して何でもかんでも「切ない!やだ!」となどと書いてあるような大変元気のいいものでした。

飽きもせず連日連夜と切ながることそれから更に10年余。
実はすでに一つ、正味3万文字程度の小説を一つ書いています。最近だと思っていましたが、期日を見ると、22歳の頃のものでした。私はメカに極端に弱く、またコンパクトタイプの携帯電話全盛期に、控え控えいの花の女子高生時代を送ったため、俗に言うガラケーで打つのが滅茶に早く、その頃はまだそれが正義だったです。それを使ってポチポチと書いた3万文字でした。
それから私もポチポチのない携帯電話を持つようになり、おのずと順応し、今年初めに始めてのパソコンを買い、最初の作品(?)を終えてからなんとなく書き溜めていたものをざっとまとめている所なのです。

矢野沙織

そんな事情があるのです。
今年は隠し持つだけでなく、何か新人賞にでも出してみようかな、と思っている所です。
いつか皆様に読んで頂ける日が来ることを望んで、精進致します。

どうぞよろしく。

矢野沙織

SAORI YANO LIVE INFORMATION

2016/02/07 SUN モーションブルー横浜【矢野沙織 GROUP】
-MEMBER-
大儀見 元(per)、宮川 純(org,p)、小松伸之(ds)、中路英明(tb)
[1st] open_3:15pm / showtime_4:30pm
[2nd] open_6:15pm / showtime_7:30pm
※入替制の公演となります。
お電話でのご予約は、
モーションブルー横浜 045-226-1919
http://urx.nu/rLFM

2016/02/06 SAT 西新井カフェクレール 矢野沙織カルテット
-MEMBER-
ぱくよんせ(pf)、中村健吾(ba)、河村亮(ds)
お電話でのご予約は、
西新井カフェクレール 03-3880-6645
http://www1.adachi.ne.jp/clair/Live_schedule.html


タグ:小説 ジャズ
2016年01月31日18:12 | Comment(3)