仲秋の妖怪  [矢野沙織]

私は大変な怖がりです。
小さな頃から襖の隙間などを凝視しては「この隙間からなにか見てたらヤバいな〜ヤバいな〜」と考えていたものです。

最近感受性が弱くなったのか、喜びや切なさの沸点が無駄に上がって仕舞ったのを嘆いているところですが、同時にうっかり異世界住人、単刀直入に幽霊関係と出会うこともまた滅法少なくなりました。
その上今年も夏が過ぎ怪談話もフェイドアウトしてきたところですが、まだまだ妖怪は出るんですね。
今日は一番付き合いの長い妖怪から少し紹介しようと思います。
まずは
「妖怪リモコン隠し」
この妖怪は幼少期から今に致るまで、しかもご丁寧に各遠征先、果ては国境を越えたとて常時私に付きまとい行く先行く先でリモコンを隠してきます。大変にうざい。
ちなみに私はリモコン隠しに会った場合はまず冷静に、あたぁしの〜リモコンはどこ〜あの〜日のカタリスをいま〜と敢えて小唄を歌う余裕を見せながら探すのですが最終的には目も当てられぬような狂気に満ちた探し様になるので、まさかの冷蔵庫の中などでリモコンを見つけた後「ああ、またまんまとリモコン隠しに憑依されて仕舞った」と頭を抱えるのです。
同列に「妖怪鍵隠し」というのもリモコン隠しと同じくらいしつこい奴なので要注意です。
ただこやつはスペアキーなどである程度融通が効くので憑依される心配はあまりありません。

続いて「妖怪ヘアピン無くし」
黒い普通のヘアピンは一度買えば少なくとも20本は入っているわけです。
私は髪をああだこうだするのが好みな為、徳用を購入するのですが、こちらはもう一生使い終わらないであろう量が入っています。
そこで妖怪ヘアピン無くしは私の後ろをつけ回して行く先々で大変な量のヘアピン撒き散らしてきます。最早本当に半端じゃない量を撒いているはずです。
しかもこやつは女の妖怪な為にやり方が妙に大胆で、女特有の底意地で徹底的にやる。ポイントは隠すのではなく無くしてくれやがるので家中探してヘアピンが一本も無いなんてこともあるのです。徳用買ったのに、です。

続いて「妖怪忘れさせ屋」
奴らはグループ犯です。
私の持ち物を手分けして至るところに忘れ物をさせるのです。
ただ彼らの愛すべき点はあくまでも忘れさせるだけでいかなるものでもきちんと返してくれること。
いつかの昼下がりに、突然蒲田警察署から電話があり腰が抜けそうになりましたが、話によればなんと有楽町で忘れた財布が、中に入っていた保険証のコピーで当時住んでいた住所の最寄り署に届いた、ということでした。
妖怪忘れさせ屋は人の善意を糧に活動するようです。

20090924.jpg

まだまだ妖怪につきまとわれがちな私のブログですがまた見にいらして下さいますことを。


ではまた次回。

矢野沙織


2009年09月24日17:05 | Comment(11)
この記事へのコメント
わたしに憑依している「妖怪忘れさせ屋」は、しばしば人名を忘れさせます。
「ほら、最近のドラマに出てるアレ、あの人...」というような取り付く島もない難問を人に投げかけさせるのです。

先日の福岡のライブ、久々に堪能させていただきました。アンコールの2曲目、矢野氏がおもむろにマイクを手にされたため、「も、もしや歌うのか!?」と一瞬、息を呑みましたが違いましたね。残念というかホッとしたというか...いや、失礼。

佐世保も楽しみにしてます。
Posted by いとこん at 2009年09月24日 18:44
こんばんは<img src="https://blog.seesaa.jp/images_e/e/E4FB.gif" alt="" width="15" height="15" border="0" />

妖怪は厄介です。

他に、『妖怪金食い虫』『妖怪愚痴こぼし』『妖怪悪口』

これらの妖怪は特に始末が悪いです<img src="https://blog.seesaa.jp/images_e/e/E473.gif" alt="" width="15" height="15" border="0" />

沙織さんへ

妖怪と仲良くする位が、素晴らしい音楽<img src="https://blog.seesaa.jp/images_e/e/E5D1.gif" alt="" width="15" height="15" border="0" />を提供出来ると思います。

妖怪ホラフキンより<img src="https://blog.seesaa.jp/images_e/e/E4EF.gif" alt="" width="15" height="15" border="0" />
Posted by スナフキン at 2009年09月24日 19:37
最近活字中毒益々進行中ですが、実のところあまり良いものに出会えていなかったりします。良いものがなんなのか、その自分なりの観念がよくわからなくなっています。(私の弱った感性と読解力とプライドのせいなのかもしれませんが、もしそうだったらとても絶望的ですが)

矢野さんのこの説
「最近感受性が弱くなったのか、喜びや切なさの沸点が無駄に上がって仕舞った」に妙に新鮮に納得してしまいました。そうですよね!!!
音楽家のあなたに言うのはおこがましいですが、矢野さんの書いた物語というものを是非、読んでみたいと思いました。あなたの文才と感性とユーモア、常人が持てるものではないと思います。

私の予想ですが、感受性は年々弱くなるというのが世間の常識ですが、妖怪の出没は年々増えて行くものと思われます。お気をつけくださいませ。

またの更新、楽しみにしています。
Posted by ありころ at 2009年09月24日 20:41
私も、憑依されます。
「妖怪忘れさせ屋」

名古屋で携帯を忘れ
大阪の交番に届けられ
蒲田警察署から通知がきました。

彼らは日本警察と同規模のネットワークを持っているのではないでしょうか。
Posted by imashiyo at 2009年09月24日 22:19
いや〜おもしろいなぁ。
文章力に脱帽!
Posted by issey at 2009年09月24日 22:40
私の周りには、妖怪が住んでいません。
物を無くすこともなく、酔っても記憶は確かだし。こんな、人生より、妖怪が身近にいる人生が楽しそうに思えます。
なので、ブログ楽しみにしています。
Posted by ひろ at 2009年09月24日 22:52
沙織さん面白すぎ(笑)
・・・大人なんだから妖怪のせいにするのは止めましょう!
次回はお気に入りの香水の話でもお願いします!
Posted by yt at 2009年09月24日 22:55
ブログを読んで納得です。僕にも不思議なことが起きます。被害はないので追求していなかったのですが、あれは妖怪の仕業だったのですね。僕の場合、仕事場に出没する妖怪多色ボールペンです。2色や4色のボールペンが作業着のポケットや机の筆立てに2本、3本と集まってきます。多いときには5本ほどにもなります。不思議なことに、1本たりとも自分のボールペンではないのです。ほかに妖怪ホッチキス、妖怪ハサミというものもいます。彼ら妖怪の出現にうざいと思うことがあるのですが、突然すべての妖怪が姿を消し、とても不自由することがあります。そのため、僕はできるだけ彼らと仲良く付き合うことにしています。
Posted by マット at 2009年09月25日 03:37
妖怪。。。。。。。

厄介ですね。

自分もよく「妖怪鍵隠し」にであいます。

自転車の鍵がなくて、血眼になって探していたら冷凍庫の中から出てきました。

まったくもって、ひんやりです。

とりあえずまだ「!?」となることがあるので、
当分妖怪たちからは逃れることができなさそうです。
Posted by とん at 2009年09月25日 21:07
また、ニヤニヤしながら読んじゃいました。絵の方もな〜んか味があって最高。
それにしても、なんでも無くすさおさおかわいーです(笑 )。
Posted by 日本手ぬぐい at 2009年09月26日 03:16
絵がめーっちゃかわいいっ!!

それにしても、その手の妖怪ってけっこう出没しますよね。こわいよー。
Posted by 簡単ダイエット方法 at 2009年09月28日 01:00
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