ダイユウギバかぶきちょお  [矢野沙織]

こんにちは、矢野沙織です。

すっかり夏ですが、ほんの少し前まで夏はもっと長くて途方もないものだと確信していませんでしたか?
少なくとも私は。


あれは確か13歳の夏でした。
お陰様で、どこそこで「14歳の時にビリーホリデーの伝記に出会い、ライブハウスに自ら出演交渉をする」という嘘っぽい話をさせて頂いていますが、これは自分でも胡散臭いと思いつつも身の程知らずに落胆するくらいの実話です。

その出演交渉をしたのが14歳の春、すなわち中二の春休みでしたから、13の夏というのは混沌とし具合マックスな時期だったのでしょう。
何をどう散らかしたか

「JRしんじゅくーえきのー東口を出たら〜いやいや〜そーこぉはあーたしぃの庭、ダイユウギバかぶきちょお〜♪」

という歌を真に受けて

「新宿駅東口には何かとてつもない感じのものがあるに違いない」

と訳の解らぬ幻想を抱いて新宿東口に足を踏み入れました。

まさか某ドラマの様に「女帝になっちゃるけん」などと思っていたわけではありませんし、背の大きい割りには成長が遅い方だった私は今では
残念ながら到底想像もできぬ子供丸出しの痩せっぽっちな女子でした。
故、何か変わったことがあるわけもなく。

それからわずか3、4年後には大変お世話になる(今ライブはお仕舞い になってしまいましたが…)
素晴らしい写真家であり、ジャズをこよなく愛す中平穂積氏が自らオーナーを勤める名店「新宿DUG」の上の某ファーストフード店でかたやその階下では自分がしたいジャズ演奏が繰り広げられているとはツユシラズとコーラかなんかを飲んだのを覚えています。

うちは比較的厳しい家でしたし、可愛い可愛いと恵まれて育った為に新宿東口を出たはいいけれど、かぶきちょお〜♪なんて単語の意味も解らなかったのでこの煙る様な大都会は大人の街なんだと思い込み、うだるような暑さの新宿をヘッドフォンで音楽を聴きながら歩きました。

ここで思い出しましたが、高校の時なぜか格言を作る授業というのが開催され散々っぱら、いじられ倒していたジミヘン教の友達が

「音楽は、景色を映画にする」

などと言い放ち、みなに揶揄されておりました。

が、
これ正に。


私が13の夏当時、初の新宿に臨んだ時に聴いていたのはスライストーンの「ケセラセラ」

もう二十歳になり、「歌舞伎町は大遊戯場」ときちんと変換出来るようになった今でも私の新宿という映画は、スライの謳うだるっだるで暑苦しい、源曲完無視の「ケ・セラセラ」です。


当時想像も出来なかった二十歳の夏は、幸せなことに曲を作っています。
半泣きで。
070801_2205~01.jpg
ではまた次回。


矢野沙織


2007年08月01日22:55 | Comment(9)
この記事へのコメント
素晴らしい!大人から変わるのに、誰でもが経時変化的に変わっていくのに。意思と行動が呼ぶ変化。私も、森の中で道が二つに分かれていたら、足跡の少ない方を選ぶ人生を歩んできたので。わかる気がします。でも、20歳で掴めた大きさは、あまりにも違いすぎましたが。たまたま、私のブログでも、夏の短さを書いたばかりです。名前をクリックすると飛ぶようになっていました。感謝しています。眠れぬ夜にでも、暇つぶしに読んでもらえたら。幸せです。他人には負けない、天才「矢野沙織」さん。ずっと、応援しています。頑張ってね。
Posted by 新井裕一 at 2007年08月02日 11:38
今回の文章、いいですネ。きっと小説家でもいけますよ。両刀使いで行きましょう!新宿かぁー。2回目に矢野さんを聞いたのが新宿のDUGです。なつかしい・・・。ちょっと村上春樹のノルウェイの森を思い出しました。文章は矢野さんの方がはるかにうまいですけどネ。自叙伝期待しています。完成すればそれが即、芥川賞ですよ。あっ、その賞は長さに制限があって、自叙伝、収まりきらないですね。
Posted by hidekun at 2007年08月02日 15:33
再び、沙織さんこんにちわ。
私も初めて新宿東口へ出たときは、想像とは違っていて…な思いをしたのを覚えていますw3,4年で曲を作りベストアルバム、そして沢山ライブ出来るまでのプレイヤーになったことはとてもすばらしいです。私も頑張ろう。まだまだ先はあるし。なんて沙織さんのブログを見ながら励まされていますw3,4年後の私はどうなっているのだろうなんて思ってみたり^^

曲作り頑張ってね!!
Posted by あき at 2007年08月02日 23:01
このまま女帝になっちゃってください!
Posted by まだ決めていません^^ at 2007年08月04日 09:51
写真を見るに、今度の曲はエリック氏が関わるのでしょうか?(笑)

曲作り大変だと思いますが、夏バテにはお気をつけて励んでくださいね(^^)/

下のキノコ!?が気になります…
Posted by kei at 2007年08月04日 21:56
この文章を読んで感動しました。

これからも素敵な言葉でファンを感動させて下さい。

いつも応援しています!
Posted by セロマジック at 2007年08月04日 23:18
今回は(も)読みごたえがありましたよ。
思えばわたしも上京当時は京王線沿線に住んでいたこともあり、初めて向かったBig Cityは歌舞伎町でした。雑多なものがひしめいていて、何とも言いがたい雰囲気と存在感に「これが歌舞伎町かぁ...」と感動を覚えたことを思い出しました。無論、その頃の就職したてのペーペーのわたしは当時の沙織さんの濃度から比べればはるかに薄いですけどね。
暑いさなか曲作りに励んでおられるとのこと、頑張ってくださいね。期待してます!(プレッシャーかな?)
Posted by いとこん at 2007年08月05日 23:21
私は今15歳なのですが
矢野さんの文を読み、
このままではダメだ と、
なぜか焦りを感じました( 笑
私はサックス(テナ−です)が好きでたまりませんが
才能とか、そういうのはよくわかりません。
というか、信じていません。
なので、矢野さんのこの日記を読み
すごく勇気づけられました。
私も夢に向かって真っすぐ進んでいこうと思います。

これからも美しい音色を響かせて下さい。
失礼しました。
Posted by なあご at 2007年08月26日 23:34
はじめまして、『音楽は景色を映画にする』ってなんかいい言葉だしそうだなって思いますね。

曲作り頑張ってください!(^^)
Posted by 絵描きの写楽 at 2010年05月07日 09:41
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